絵本のギフト

グラフィックデザイナーで2児のママが、娘たちが実際に何度もリピートしてくるギフトにぴったりなステキな絵本をご紹介します

絵本 泣いた赤鬼

読み聞かせていると、思わず涙声になってしまいます。

泣いた赤おに (日本の童話名作選)

泣いた赤おに (日本の童話名作選)

 

言わずと知れた名作です。

 

この絵本は、読み聞かせの大切な時間について、私に再確認させてくれました。

 

2、3年前に美容院でたまたま読んだ雑誌のコラムに、いつもいつも子どもに読み聞かせをしていた時間が唐突になくなってさみしい、というような話がありました。

ふりかえれば読み聞かせは子どもと親のだいじな、だいじな時間。

子どもによって年は違うのでしょうが、だれでもいつかは読み聞かせをしてあげることはなくなります。自分で読んだほうが早いし、いつかは自分で読書の楽しみを切り開いていくのです。

 

「またそれ読むの〜?」「もう今日はおしまい!」と、子どもが何度も同じ本を持ってくるのに辟易して、そんなことを言ってしまうこともありました。

「もう読んであげないよ!」「今日は絵本読む時間なくなるよ!」こんな言葉も、すぐに歯磨きしてくれない、お風呂に入ってくれない、パジャマに着替えてくれないなどの理由で、私がついつい言ってしまう言葉です。自分で書いていてもなんて傲慢な言い方なの!と多少自分にがっかりしてまいます。いつのまにやら、ずっ〜と読み聞かせをするのかと錯覚しているのです。

 

読み聞かせは結構大変です。私は自分が読書が大好きなので、たくさ〜ん絵本を読んであげたい!と、自分が親になるまではその大変さを甘くみていたように思います。いくら本が大好きでもずっと声に出して読んでいると疲れます。とくに同じ本は。のども痛くなってきます。

けれどもいつかは「よんで〜」と、子どもが言わなくなる!のです。

そのコラムは私にそれを気づかせてくれました。ハッとしました。

そして今、小学生になっている長女には、その読み聞かせの終わりの時はもうすぐでしょう。実際に彼女に読んであげる時間はとても少なくなっています。

 

そして思うのです。

この「泣いた赤鬼」を読んであげれて良かった。一緒に読めて良かった。

もちろん娘が1人で読んでも、この素晴らしい物語は娘の心になんらかの形で残るでしょう。でも一緒に読めて空気を共有できて良かったなぁ、この本が、読み聞かせに間に合ってよかったなぁ、と思うのです。ただの親のエゴですが、子どもが心を動かす瞬間を、一緒に共有できるなんて、と。

 

絵本は日常とはまた違った形で私達の心を動かしてくれます。私も一生懸命、声に出して読んであげていますが、彼女たちも一生懸命、耳を傾けてくれます。時にはハッとして、時にはゲラゲラ笑ってくれて、時には心配そうにして、時には悲しそうにして、時には良かった〜と安心して。私のつたない読み方でも、娘たちはとても喜んで素晴らしい聞き手になってくれます。

子どもと一緒に心を動かせる時間は、子どもが大きくなるに連れて、どんどんどんどん減っていくのでしょう。すぐに子どもは親よりも友人たちと(そんな友人を娘が作れることを望みます!)、心を動かしていくようになるのでしょう。

 

この「泣いた赤鬼」は一緒に読もうね、と長女に言っていたのですが、もうすぐ2年生になる彼女はさっさと時間をみつけて1人で読んだようでした。それでも夜、一緒に読もう!と、次女の隣で私が読み聞かせを始めると、違う本を眺めていた長女も一緒に聞いてくれました。

 

村人と仲良くなりたい赤鬼のために、青鬼が悪い鬼のふりをしてくれます。

そして青鬼は自分1人を悪者にしたまま旅に出てしまうのです。

 

この絵本は、原文をそのまま載せているそうです。

そのせいか、少し古風な言い回しが、更に泣かせます。

私もだいぶ久しぶりに読みましたが、思わず最後、鼻声になって読み聞かせ終わると、1人で読んだときにはへっちゃらそうだった(?)長女は私につられたのか、少し涙声になって小さな声で「すてきなおはなし」とつぶやきました。まだ語彙が少ない娘にはそれしか言えなかったのかも知れませんが、それで充分だと思いました。

4歳半の次女は、少し涙声になっているお姉ちゃんとは対照に、ぜんぜん平気そうに見えました。もしかしたら4歳にはまだ難しかったかな?と思いながら、「そうだね、素敵なお話だね、もう遅いから寝ようね。」 と電気を消しその日は寝ました。

次の日の夜、寝る前に電気を消そうとしたとき、次女が突然「泣いた赤鬼」の感想をしゃべり始めました。

「あかおにさんはさみしかったのかな?」

「あおおにさんはおでこ、すっごくいたいのだいじょうぶかな?」

「ごつ〜んってしてたよね」

と次女が言い出したとき、その日一日、全然「泣いた赤鬼」の話をしていなかったし、あんまり唐突だったのでびっくりしました。

そうして、次女の心にも、おはなしがちゃんと残っていることに、とても嬉しく思いました。

 

A4より少し大きいくらいの大きさの絵本で、イラストも見ごたえがあります。 

娘たちと一緒にこの絵本を読めてよかったです。

本当に特にそう思った絵本でした。

 

おすすめです。